振り返る [2020ことばの魔法]

書くことを日々の生活の中に位置付けていく。

今年度、クラスの子どもたちに繰り返し語っていることです。


語りは、容易に騙りへと変容します。

しかし、騙られたことの中に、「新たな自分の萌芽」が含まれることもあります。

なぜなら、人間は可能性の生き物ですからです。


語ることによって、今の自分を確かめ、

騙りの中に、新たな自分を感じる。

語り騙られることばが、彼らの血肉となるよう、ふり返りの伴走をしていきます。


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粛々と [2020ことばの魔法]

町の様子や空気が目に見えて変わってきました。テレビを見ていても、新型コロナウィルスに対する脅迫的な報道が減ってきたように感じます。6月までの自粛ムードが一転、うっかりすると台風一過の後の晴天のような心持になります。

でも、実際はそんなことはなく、いまだに足元は、綱渡りの綱の上にあります。恥ずかしながら、それを強く自覚させられるのは、クラスの子どもたちの様子からです。騒がず、静かな様子で、粛々と過ごしている・・・彼らの方が、鋭敏に危機感を感じ取り、適切な行動をできています。

通常通りに授業ができない、関係づくりが思うように進められない、放課後の消毒作業やプリント類の準備作業にどれほどの効果があるのか・・・と、口を開くと愚痴をこぼしたくなりますが、いつ・いかなる時でも担任が子どもたちのためにしなければならないことは同じ、自分の頭を使い、彼らのためにできることを粛々と行っていくことです。


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ハマチ [2020ことばの魔法]

新型コロナウィルスの流行に伴い、学校現場は感染対策に追われています。

感染の第2波、第3波を防ぐためには、環境を整えるのはもちろんですが、子どもたちに予防教育をすることが大切です。

堅苦しい指導では、頭で分かっても行動変容を促していくことができません。そこで、「伝え方の工夫」が必要となってきます。学校現場には「おかしも」「いかのおすし」等、覚えさせたい言葉の頭文字をとって印象的なことばにして意識付けを図るという伝統(?)があります。その伝統に則り、感染対策のあいことばを考えました。「ハマチ」です。

ハ・・・ンカチ

マ・・・スク

チ・・・健康ェックカード

小さな工夫ですが、効果はてきめんです。

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持続可能な魂の利用 [読書・映画・音楽]


持続可能な魂の利用

持続可能な魂の利用

  • 作者: 松田青子
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2020/05/20
  • メディア: Kindle版

松田青子さんによる、ディストピア的・現代日本論です。

「世界は男で回っている」という男性優位の世界観を、「おじさん」という視点から語ります。その視点自体に、目新しさはありません。


本書の見所は、第2部、現代日本によく似た舞台で、秘密裏に行われていた計画が発覚するところからです。その計画の発覚は、世の中に大きな衝撃を与えましたが、同時に安堵をも与えました。育児中の母親たちがTwitter上で怒りを表明するとともに納得している様子を示しているのを見て、中心人物の一人である由紀は、こうつぶやくのです。


確かに、なんの裏もなく、普通にこうだったとしたら、本当に最悪な国でしかなかっただろう。


現代日本と寸分違わないリアリティで小説世界が描かれてきたからこそ、このつぶやきが効いてきます。裏に何の計画もないまま、普通にこうである今の日本は、本当に最悪の国なのかもしれない…一瞬でもリアリティをもってそう感じさせられた時点で、作者の掌の上、読者の負けです。

理屈を超えた部分で、情動的に訴えてくるものをもっている。今風に言えば「エモい小説」、心に波風が立つこと間違いなしです。




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200607歴史学習の計画(夏休み前まで) [2020ことばの魔法]

文部科学省からの要請を受け、各教科書会社から「学習活動の重点化等に資する年間指導計画参考資料」が出されました。卒業学年を担任されている先生方は、さっそくご覧になったことと思います。

6月のこのタイミングで出したのが「迅速な対応」であったのかどうかについての議論はさておき、この資料、正直、あまり参考にならないと感じられた方が多いのではないでしょうか。従来の内容より2割減とした年間指導計画、その減じられたものに目をやると、大半が「単元のまとめを各家庭で取り組ませる」という工夫に終始しています(これを「工夫」と呼んでもよいのならば、です)。

単元導入の考える作業を予習として、作文やレポートなどのまとめの学習を家庭学習として課していくというスタイルを全ての教科で実践することを想像してみれば、それが荒唐無稽な案であることが分かるでしょう。出された参考資料に欠けているのは、学習を包括的に見るマクロな視点です。 また、計算上は8割の時数時間が確保できることになっていますが、授業時間の短縮(私の勤務校では、45分→30分)、健康観察や心のケアにかかる時間等も考慮すると、2割減どころではない!という実感があります。流行の第2波、第3波も懸念されていますので、実際には、従来の6割の授業時間で取り組むくらいの覚悟が必要でしょう。

そこで、今回、ひとまず夏休み前までの登校日数、授業時数から逆算し、全ての教科の指導計画を見直してみました。社会を例に考えてみます。

6年生の社会は、今年度より、公民→歴史→公民というサンドイッチ型で進めることになっています。個人的には、このやり方、とても興味深いと思っていたのですが、持ち上がりではないクラスで子どもたちの学習状況をつかめないまま、公民分野の学習課題に取り組ませるのは難しい(自分にその力量がない)ということで断念、従来通り「古代史からスタート、歴史の後で公民という学習方針」で進めることになりました。

具体的には、教科書に準拠する形で縄文時代から飛鳥時代までのプリントを作り、休校期間中に取り組んできてもらいました。資料を豊富に取り入れたプリントは、「分かりやすい」とおおむね好評だったのですが、「聖徳太子って人なの?」「漢字が難しくてよく分からない」「勉強なーんにもしてませんでした!」という声もあり、結局、復習を兼ねて、頭からやり直すことになりました。

6月の分散登校期間から夏休みの開始まで。どんなに詰め込んでも、社会に使える時数は25時間程度です(この25時間を捻出するために、他の教科の指導内容も大幅に縮減したのですが、それはまた別の話です)。

以下、「縄文時代から江戸時代までを25時間で終わらせる指導計画」です。

計画のポイントは、

単元ごとに、大きな問いを設定し、その大きな問いを中心として指導内容を整理したこと。たとえば、1国づくりへの歩み(縄文時代~古墳時代)は、「❶歴史を学ぶことの意義は何か、❷日本という国がまだない時代、人々はどのように暮らしていたのか。どのようにして、今の日本はできていったのか。」という風に。

②大きな問いに答えるために必要な知識を整理し、絶対に扱うこと(キーワード)、できれば扱いたいことを分類したこと。

NHKforSchoolの動画教材「歴史にドキリ」と連動させ、家庭学習しやすい形にしたこと。


先週、1時間目の授業を行いましたが、反応は上々、5分オーバーして35分かかったものの、今後の進め方の見通しをもつことができました。


社会

1国づくりへの歩み、2大陸に学んだ国づくり、

3武士の政治が始まる、4室町文化と力をつける人々

 

 

キーワード

 

◆資料集1 ★縄文時代と弥生時代

【キーワード】狩りや漁、採集、米づくり、竪穴住居、高床式倉庫

 

◆資料集2、3 ★卑弥呼

【キーワード】邪馬台国、古墳、前方後円墳、豪族、大王(おおきみ)、大和朝廷、渡来人

テスト「国づくりへの歩み」

 

◆資料集4 ★聖徳太子

【キーワード】摂政、十七条の憲法、冠位十二階、遣隋使、小野妹子

 

◆資料集5 ★中大兄皇子

【キーワード】中臣鎌足、大化の改新、平城京、律令、唐、租調庸、貴族

 

◆資料集5 ★聖武天皇、行基

【キーワード】大仏、東大寺、国分寺

 

◆資料集6 ★鑑真

【キーワード】鑑真、唐招提寺、シルクロード

 

◆資料集7 ★藤原道長

【キーワード】平安京、寝殿造、摂政・関白、太政大臣

 

◆資料集8 ★紫式部、清少納言

【キーワード】遣唐使、源氏物語、枕草子、かな文字、国風文化

テスト「大陸に学んだ国づくり」

 

◆資料集9 ★平清盛

【キーワード】武士、太政大臣、厳島神社、源氏、平氏、

源義経、壇ノ浦の戦い

 

◆資料集9 ★源頼朝

【キーワード】鎌倉幕府、鶴岡八幡宮、征夷大将軍、ご恩と奉公、御家人

 

◆資料集10 ★北条時宗

【キーワード】執権、元寇

 

◆資料集11 ★足利義満、足利義政

【キーワード】金閣、銀閣、書院造

レポート

◆資料集12 ★雪舟、世阿弥

【キーワード】水墨画、能、狂言

テスト「武士の政治が始まる」「室町文化と力をつける人々」

 

 

社会

5全国統一への動き 6幕府の政治と人々の暮らし

 

 

やること

 

 

◆決戦!長篠の戦い・資料集12 ★ザビエル

【キーワード】応仁の乱、戦国時代、キリスト教、南蛮貿易

 

◆資料集12 ★織田信長

【キーワード】安土城、鉄砲、楽市楽座、仏教の弾圧・キリスト教の保護

本能寺の変

 

◆資料集13 ★豊臣秀吉

【キーワード】大阪城、検地、刀狩、朝鮮出兵

 

◆資料集14 ★徳川家康

【キーワード】関ヶ原の戦い、朝鮮との交流、江戸城、江戸幕府

レポート

戦国の3武将について

 

◆資料集15・16 ★徳川家光

【キーワード】参勤交代、親藩・譜代・外様、武家諸法度、百姓、五人組、身分制度

 

◆資料集17

【キーワード】日本町、島原・天草一揆、絵踏、鎖国、中国、オランダ、出島

テスト「全国統一への動き」「幕府の政治と人々の暮らし」







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もうひとつの曲がり角 [読書・映画・音楽]

2年前に担任したクラスの学級通信名が「曲がり角の向こう」でした。

「赤毛のアン」の有名な一節、

 

「曲がり角の向こうに何があるのか、今はわからないけど、きっとすばらしいものが待っていると信じることにしたわ。」

 

から拝借しました。

そういうこともあって、自分にとって「曲がり角」は特別な言葉です。

もうひとつの曲がり角

もうひとつの曲がり角

  • 作者: 岩瀬 成子
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/09/26
  • メディア: 単行本

 

さて、岩瀬成子さんの新作です。

 ①タイトルに「曲がり角」という言葉が入っている。

②表紙を酒井駒子さんが描いている。

③自分は岩瀬成子さんのファンである。

ときたら、もう買わない理由がありません。

今作も、いろいろな意味で「突き刺さるお話」でした。

引っ越しによる環境の変化に馴染めない小学校5年生のわたし、朋。何か大きなトラブルがあるわけではない。でも、何となく不調和な毎日が子どもだった彼女を少しずつ変えていく・・・「もうひとつの曲がり角」はそんな話です。

「赤毛のアン」がそうであるように、この物語でも、「曲がり角」は象徴的に描かれます。アンが、積極的に曲がり角の向こうの希望を信じることにしたのに対し、この物語の主人公・朋は、もっとぼんやりとした感情のまま、曲がり角の先に進んでいきます。アンほど理知的ではないけれど、曲がり角の先にいくことを自ら選ぶという強さは共通しています。強さというよりは、内面から自分を動かす衝動性と呼ぶべきでしょうか。

小学校教諭として5年生の子たちと関わる機会が多いだけに、朋の抱える「うまく言えないけれどそうしたの!」という心情はよくわかります。理性的な判断ではない。けれども、決して感情だけに任せて決めているわけではないのです。岩瀬さんは、こうしたアンビバレントな内面描写が非常に上手く、まるでかつての自分を描かれているかのような錯覚を覚えます。だから突き刺さるのです。

物語の後半、彼女(とその兄)が下したある決断に対して、父親は言います。

「どっちにしても、よく考えてからきめる、というのは大事なことだから」

それに対して、彼女は答えます。

「じっくりかどうかわかんないけど、考えたよ。しなくちゃいけないといわれたから、しなくちゃいけないって思うのは、それは考えてないってことじゃないのかな」

自分の生き方を自分で選ぶ。

その第一歩を踏み出した朋の前途は、多難であっても希望を感じさせるものです。

「ああ面白かった!」というカタルシスはありませんが、読み終えた後も、心に澱となって残り続ける作品…「もうひとつの曲がり角」は、やはりいつもの岩瀬さんの本でした。


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はさみむし [読書・映画・音楽]

先日の理科の時間のことです。

 「先生、この虫は何ですか?」と尋ねられました。

見るとそれはハサミムシです。
自分にとっては、アリやダンゴムシと同じくらいなじみ深い虫だったので、少々驚きました。
今の子どもたちは、ハサミムシも知らないのか!?
いえいえ。たった一人の質問で「今の子どもたち」と言い切るのは乱暴ですし、そもそもハサミムシがメジャーな虫だという私の認識がおかしいということもあり得ることです。
ともかく、その会話がきっかけとなり、私の頭の中にハサミムシが住まうことになりました。
すぐにその日の放課後、図書室で下の本を読みました。
ハサミムシのおやこ (ふしぎいっぱい写真絵本)

ハサミムシのおやこ (ふしぎいっぱい写真絵本)

  • 作者: 皆越 ようせい
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2008/05/01
  • メディア: 大型本
表紙からして、すさまじいインパクトです。
40年も生きていて、メジャーだと思い込んでいたハサミムシのたまごを自分は見たこともなかったし、どんなものなのかを想像したこともなかった事実に気が付きました。
自分自身が無知であることに気付けるのは、幸せなことです。ありがとう、ハサミムシ。
その後もハサミムシのことをいろいろと調べているうちに、月刊かがくのともの11月号が「はさみむし」の本であることを知りました。タイムリー過ぎて、ちょっと気味が悪いくらいです。
かがくのとも 表紙
さっそく近所の書店に駆け込み、購入しました。
もう何度か読みましたが、これが実に素晴らしい本です。クラスの子どもたちにも早速紹介しようと思います。

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楽しさを大切に [教師修業]

「子どもらしい」といえばプラスに、

「子どもっぽい」といえばマイナスに聞こえます。


目の前の子どもは同じ存在のはずなのですが、「子どもを大人に導いていくのが教師の仕事」という思いが強すぎると、どうしても「子どもらしさ」と受け止められず、「子どもっぽい」とマイナスの捉えをしがちです。


先日、ケンカばかりするクラスの子に、「小さなことでつまらないケンカをくり返していると、小さなつまらない人になってしまいますよ。」と指導をしました。指導しながら気付きました。あれっ。小さなつまらないことで目くじらを立ててお説教をしてしまっているのは自分自身じゃないか。「小さなつまらない人間って自分のことだ・・・。」強い言葉は、まさに諸刃の剣です。繊細な私は、自分の言葉に深く傷つきました(笑)。


「子どもざかり」の3年生と付き合っていると、自分の考え方というか軸がいかに大人寄りになっているかに気付きます。

「人は正しさのみで生きるにあらず。」です。楽しさを軸に、それでいて正しい方向に進みたいという思いを育んでいけるか。初心に戻ってやっていこうと思います。



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彗星 [読書・映画・音楽]

学生時代に「LIFE」にやられて以来、小沢健二さんのファンです。


LIFE

LIFE

  • アーティスト: 小沢健二,小沢健二,服部隆之
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 1994/08/31
  • メディア: CD

今秋、その小沢さんが「毎日の環境学」以来、13年ぶりとなるアルバムを出すとのニュースが耳に入ってきました。嬉しいニュースです。


先行シングルとしてリリースされた「彗星」を早速聞きました。


今ここにある この暮らしこそが 宇宙だよと 今も僕は思うよ なんて奇跡なんだと


他の人が歌ったら軽薄にとられかねない歌詞も、オザケンが歌うと説得力があります。

出会いからずいぶんと経ちますが、オザケンは今でも自分にとってアイドルなのだなとしみじみ思いました。


アイドル・・・と言えば、先日、20数年ぶりに魯迅の「故郷」を読みました。この物語で「偶像崇拝」という言葉を覚え、心に刻み込んだのは私だけでしょうか。


ルントウが香炉と燭台がいると言った時、わたしは内々彼を笑っていた。彼はどうしても偶像崇拝で、いかなる時にもそれを忘れ去ることが出来ないと。ところが現在わたしのいわゆる希望はわたしの手製の偶像ではなかろうか。ただ彼の希望は遠くの方でぼんやりしているだけの相違だ。


故郷/阿Q正伝 (光文社古典新訳文庫)

故郷/阿Q正伝 (光文社古典新訳文庫)

  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2009/04/20
  • メディア: Kindle版

光文社古典新訳文庫で出ていることを知りました。この本では、偶像崇拝をなんと訳しているのでしょう。機会があればまた再読したいところです。

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綿の国星 [読書・映画・音楽]

春は長雨


どうしてこんなにふるのか さっぱりわからない


どうして急にだれもいなくなってしまったのか さっぱりわからない


だめだ ポリバケツのふたを あける力もないや


・・・大島弓子さんの漫画「綿の国星」の導入ページの言葉です。


綿の国星 (第1巻) (白泉社文庫)

綿の国星 (第1巻) (白泉社文庫)

  • 作者: 大島 弓子
  • 出版社/メーカー: 白泉社
  • 発売日: 1994/06/01
  • メディア: 文庫

物語全体に通底する詩情が昔から好きなのです。

でも、定期的に読み返したくなるのは、それだけではなく、文体のリズムが心地よいからなんだと先日気付きました。

楽器が定期的な調律を必要とするように、人間の心にも調律が必要だと私は思います。「綿の国星」のリズムは、読み返すたびに私の心を調律してくれている・・・そう思うと、いっそうこの物語への愛着がわきました。



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