読書の時間 [2020ことばの魔法]

通常登校再開の初日、まず行ったのが読書指導です。

すきま時間の読書の励行、5分間読み聞かせシリーズはこれまでも続けてきました。

それに加え、読書活動の記録(学習のふり返りに合わせ、「読書のあしあと」と命名)、定期的な読書状況の報告などを行っていくことを話し、その後30分間の自由読書タイム。

選書にはまだまだ課題が多いものの、途中、集中力を切らすことなく、全員が本の世界に浸ることができました。


読書活動の記録に関しては、これまで短冊に10冊ずつ書き溜め、ひと月10冊、1年で100冊を目標として設定することが多かったのですが、これはあまり現実的な数字ではないということで、今年度は40冊を目標に設定しました。具体的な数値による目標設定は賛否もあるでしょうが、多くの小学生には目標設定が効果的に機能する…というのが私見です。


子どもが「読書」に夢中になる魔法の授業

子どもが「読書」に夢中になる魔法の授業

  • 出版社/メーカー: かんき出版
  • 発売日: 2015/04/22
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
※40冊という設定は、この本からいただきました。30人クラスだから、30冊でもよかったかなぁ…と今更思っています。…40も30も学術的根拠があるわけではないのですが(笑)。


また、選書の基準として、①読書に親しむ(習慣化)→②好きな本を見つけられる(多読)→③読書で世界を広げるというステップを示しました。エンタテイメントとしての読書から学びに生かす読書に踏み出すきっかけとなれば、と考えています。ただ、娯楽性は大切(!)です。選書の際は、自由読書8:広げる読書2を意識してね、という言葉を添えました。


ふり返りノートに、読書の時間のことを好意的に書く子が多く、初日から手ごたえを感じています。あとは、いかに教師が時間と環境を設定していけるかです。

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表のねらい・裏のねらい

「万葉集」の時代、日本にはすでに花見をし、季節を楽しむ文化があったそうです。ただし、当時は桜ではなく「梅」。中国から渡来した梅見の文化が広がり、その後、平安時代に桜を見るのが一般化した・・・ということを知りました。


古代より、日本は大陸との交流によりさまざまな文化を享受してきました。日本側だけではなく、大陸側もそれは同じことでしょう。交流は、新たなものとの出会いを契機とし、文化の水平方向の広がりをもたらします。

とはいえ、日本は常に交流に開いていたわけではありません。平安時代、内乱状態にあった唐との関係を断ち、国交を断絶することで、日本には国風文化という独自の文化が花開きました。敢えて出会わないことから生まれる、文化の垂直方向への深まりというのもありうるわけです。

来週から、社会は奈良時代に入ります。大陸との交流が、日本の文化に豊かさを与えた…という話から、君たちは交流に対して開かれた心をもっていますか?と問いかけるつもりでしたが、それだけは豊かさの一部だと気づきました。敢えて交流を断つことで、独自性を深化させていく。それも豊かさの一面です。


「日本と大陸文化との交流」という教科の表のねらいに対し、「交流・断絶がもたらす豊かさ」を裏のねらいとして、教科を超えた汎用的な考え方を伝えていく。最近、その重要性を再認識しています。



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【読書】23分間の奇跡 [読書・映画・音楽]

23分間の奇跡 (集英社文庫)

23分間の奇跡 (集英社文庫)

  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 1988/07/20
  • メディア: 文庫

「みなさん、おはよう。わたしが、きょうからみんなの先生ですよ」と新しい先生が言った。時間はちょうど9時。さて、最初の授業で、教師は何を教え、子どもたちは23分間でどう変容したのか—―。

教育のもつ洗脳性だけにとどまらず、国家について、自由についてなど、読む人の関心に応じてさまざまな問題を提起する短編です。


本棚に埋もれていたこの本をわざわざ探して読みたくなったのは、自分の授業に疑問を感じていたからでしょう。この本の再読が、最近の授業を見つめなおす契機となりました。

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分からないこと・間違えること [2020ことばの魔法]

社会の授業でのことです。今日は、中大兄皇子が目指した天皇中心の国づくりについて話をしていました。

中国の王朝名が唐に変化したことに気付いた子が唐突に、「かりんとうと何か関係があるのですか?」と発言しました。(その子は国語で「統括型」を教えた際も、「トンカツ型」を連呼していました。音に対する感性が鋭いのです)

かりんとうの「とう」は、砂糖の「糖」であり関係はないことを伝えた後、「唐揚げ」や「唐辛子」の唐は、中国の唐と関係があるという話をしました。ただし、どちらも「唐」の時代に由来する食べ物という意味ではなく、今でいう洋風に近いニュアンスであることを伝え(唐草模様、唐傘など)、中国とのかかわりが日本にとっていかに深く・影響の大きいものであったかを掘り下げることができました。

子どもの発言を取り上げ、そこから授業を展開していくこと…教師にとっては常に心がけていたいことですが、いつも思うように着地させていけるわけではありません。実感的には、成功1:失敗9という割合でしょうか。

分散登校も3週目末で、やっと授業中の空気があたたまってきました。とはいえ、まだ緊張感の抜けきらない状態です。不安の多い子達のためにも、分からないことや間違えることが安心してできる雰囲気づくりを心がけていこうと思います。

そんなことを思いながら帰宅をし、久しぶりに再読したのが宮川ひろさんの「しっぱいにかんぱい!」です。


しっぱいに かんぱい! (かんぱい! シリーズ)

しっぱいに かんぱい! (かんぱい! シリーズ)

  • 出版社/メーカー: 童心社
  • 発売日: 2008/09/15
  • メディア: 単行本
この本も、今のクラスで読み聞かせしたいなあ。

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価値ある強制 [2020ことばの魔法]

子どもたちの内面から立ち上ってきたものだけに価値を認め、「強制的なもの」によって生み出されたものは不純だとする。

そうした純粋主義は自分の中にもあって、時に一切の強制性を断罪しようとする。

でも、そうではないのだ。「価値ある強制」は確かに存在するのだ。

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読書 [2020ことばの魔法]

封印されていた学級文庫を開設しました。

もののやり取りに関しては、まだ制約も多く、開設許可が下りたとはいえ、運用には細心の注意を払わなければなりません。それでも、うれしいものはうれしい。同じ気持ちを持っていた子も多いようで、手を洗い、密を避けながら、嬉々として読みたい本を選ぶ姿がありました。

最近は、背伸びした本を読む子も増えました。ある子は、カズオ・イシグロの「わたしを離さないで」を読んでいます。漫画「約束のネバーランド」の影響から手に取ったとの話でしたが、しっかりと内容を理解し楽しめていたことに驚きました。「じゃあ、これも読んでみたらどう?」と渡したのが「新世界より」。
新世界より(上) (講談社文庫)

新世界より(上) (講談社文庫)

  • 作者: 貴志祐介
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2012/09/28
  • メディア: Kindle版
すでに上巻を読み終えたようで、「面白かったです。続きも買って読みます」と話してくれました。本を通したコミュニケーション…それだけにこだわる必要はありませんが、自分が担任である意味は、本の価値を伝えていくことだと信じています。個人の時間が多くなる年度だからこそ、例年以上に読書活動に力を入れていきたいです。

そうそう。今週初めから、クラスでの読み聞かせを始めました。今年度の記念すべき1冊目は、岡田淳さんの「ムンジャクンジュは毛虫じゃない」です。
ムンジャクンジュは毛虫じゃない (偕成社文庫)

ムンジャクンジュは毛虫じゃない (偕成社文庫)

  • 作者: 岡田 淳
  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 1993/03/01
  • メディア: 単行本

分散登校中のため、同じ話を2日続けて読んでいます(笑)。マスクでの読み聞かせは息苦しいですが、子どもたちの反応は悪くない感じです。7月10日から始まるこの物語、さて、読み終えるときには現実の世界も同じくらいの時期になっているでしょうか。






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授業を作る [2020ことばの魔法]

短縮日課なので効率よく教えていくことが優先・・・と割り切って進めていましたが、次第に子どもたちから反応が生まれるようになってきました。効率的ではない場面が増えてきて、授業が活性化してきました。

今日は、国語「イースター島にはなぜ森林がないのか」を読みました。音読、段落分け、単元のねらいの確認・・・と進めていく予定でしたが、一読後、子どもから「イースター島に森林がなかった時、日本は何時代だったのですか?」という歴史と関連させた問いが出てきました。これに応える形でやり取りをしたところ、本時のねらいとは外れてしまいましたが、本文内容の理解を大きく進めることができました。結果として、単元全体のねらいに迫ることができたのです。子どもたちの満足度も高かったように感じました。

即興性は授業においても大切です。でも、初めから子ども頼りで授業を進めていくには、あまりにも力量不足です。授業の計画を立てることは、未熟な私には不可欠な営みです。

単元における大きなゴールを想定しておくこと。そして、毎時間の小さなゴールの達成にこだわりすぎず、子どもたちから出てきた問いを大切にしながら、授業を進めていくこと。やり取りを通して生きた授業を作っていくのは、やはり楽しいです。

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考え続ける [2020ことばの魔法]

SUPERCARの「Fairway」という曲は、自分にとって大切な一曲です。

学生時代に出会って以降、古いアルバムを見返すように、定期的に聞きたくなる、そして、イントロがかかった瞬間に、「青い感情」が蘇ってくる…そんな曲です。「青春とは、反復概念である」とは、哲学者・永井均の言葉だったでしょうか。

Futurama

Futurama

  • 出版社/メーカー: キューンミュージック
  • 発売日: 2000/11/22
  • メディア: CD
さて、学校再開以降、分散登校のため授業時数が少ない、さらに単位時間が45分ではなく30分(!)という日程のため、どうしても授業が駆け足になってしまっています。
そこに、子どもたち相互の話し合いができないという条件が加われば、どうしたって授業は知識注入型に傾倒していきます。
例えば、理科の授業。
生活体験を想起させ、そこから問いを見出し、予想の交流→実験方法の確認→実験→結果の確認→まとめ…という手順を踏むことが多いのですが、今は、はじめに「ものが燃えると酸素が使われ、二酸化炭素が増える」という結論を提示し、実験の仕方を説明、どういう結果が出たらそれが検証できるかを確認、教師による実験によりそれを検証…という手順で進めることが大半です。
この授業は、あらかじめ決まったレールに子どもたちを乗せるため、試行錯誤や紆余曲折が少ないです。ゴールが約束された安心な航路です。
「分かりやすい!」という子も多いのですが、さて、この授業でほんとうに子どもたちに力を付けることができるのだろうか、と考えてしまいます。
自分が描く、目指すこども像と授業の在り方が乖離している。それを強く感じるのです。
Fairwayには、次のような歌詞があります。
安心を買った どうしてか心を売って 買った気がしてたら 
安心はどこか退屈と似てた そんな なぜ?に撃たれていた
制約多い現状の中で、どんな授業をすればよいのか、という問いに対する答えは明確ではありません。
でも、どこか「退屈」にも似た授業を打破するためには、少しでもましな授業を考え続けることしかないのだと思います。



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人にやさしく 自分にもやさしく [2020ことばの魔法]

金曜日の帰りに当たり前のように交わす言葉、「お疲れさまでした」。本来、相手への気遣いやいたわりを含んだことばですが、最近、自分が「そうではないことばづかい」をしてしまっていることに気付きました。

「疲れたー!」「やっと週末かー」…

疲れたことを自分自身で確認する非対話的な表現、仕事は非本来的な生き方でやっとそれが終わって週末自由に過ごせるというような表現です。意図して発した言葉ではないからこそ、余計に思慮のなさが際立ちます。

思慮のなさは、自分自身に周りを思いやるゆとりが足りていないことの表われです。仕事は大好きですが、最近、余裕のない働き方をしてしまっていたのかもしれません。週末はゆっくりする時間を持ちたいと思います。

一方で、自分が疲れていたから周囲に思いやりのない言動をとってしまったことに対しては、「10秒間だけ」猛省します。

人にやさしく、自分にもやさしく。それが今年度のスタンスです。



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ハードル [2020ことばの魔法]

「せっかく学校に来ているのだから、1時間に1度くらいは、発言する機会を作っていきませんか?」

この提案だけで子どもたちは変わりません。

「あいさつをできる人?」「(この問題文を)読める人?」「(九九等のやさしい計算が)できる人?」という小さな投げかけが端緒となり、徐々に発言のハードルが下がっていきます。

昨日は、分散登校のおとなしめのグループでの授業日でした。上記のような投げかけを4時間続けたところ、子どもたちが激変。「おとなしいグループ」という印象は誤りで、実は「猫の皮をかぶった虎の群れ」であることが分かりました(笑)。

大きなハードルを乗り越えさせるのではなく、無数の小さなハードルを乗り越えさせることによって変容を促す。大切な経験則です。(余談ですが、ここでふと浮かんだのが、忍者が跳躍力を付けるためのあの特訓です。昭和世代の昭和世代たる所以ですね。)

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