雷獣ヴァヴェリ [読書・映画・音楽]
フレデリック・ブラウン短編集「さあ、気ちがいになりなさい」より「雷獣ヴァヴェリ」。
ある日突然、生活の中から電気が失われる。
物語はそこから始まります。世の中は、当然大混乱に陥るのですが、その後の人間の適応力の速さ! 現実でもきっとそう、人間は思っている以上に強かです。とはいえ、この物語の結末は、ずいぶんと牧歌的ともいえるでしょう。実際に、もしもこの世の中から電気が失われたら、馬力や蒸気の時代に戻るとは思えません。
「春のかおりが湿った空気の中で、やわらかく 甘く 漂っていた。
平和と黄昏。
遠い雷鳴。
〈残念だな〉と彼は思った、
〈すこしでもいいから稲妻が光ってくれたらなあ〉
彼は稲妻だけが恋しかった。」
平穏の中にあっても、人間は稲妻(=文明的なもの)を求める生き物です。
2021-09-10 20:12
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