まぼろしの小さい犬 [読書・映画・音楽]

手に入れることのできないものは、どんなに欲しがっても無理なのだ。

ましてや、手のとどくものを手にしないなら、それこそ、何も手にいれることはできない。

まぼろしの小さい犬

まぼろしの小さい犬

  • 作者: フィリパ ピアス
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1989/07/06
  • メディア: 単行本


現実よりも空想の世界の方が良い・・・と考える子が増えた。

いや、わずらわしい人間関係や見えてくる自分の未来、ままならない自分の心に翻弄され、空想(ファンタジー)の世界へ逃避したがるのは、思春期の普遍的な心情か。

にもかかわらず、増えた、と感じるのは、思いを吐露する子が増えたから。

危ういなぁとも思うし、そうだよなぁとも思う。

でんでんむしは皆、かたい殻を背負って生きていかねばならないのだ。


現実の満たされなさ(欠乏感)とどう向き合うか。あるいは、折り合いをつけるか。

それは、「個人的」な戦いなので、代わりに槌を振るうことはできない。

が、戦い方を教えることはできる。

ある子には、「果てしない物語」を送った。

ある子には「西の魔女が死んだ」を。

もしも自分だったら、どんな本が武器になるだろうか。

浮かんだのがピアスの「まぼろしの小さい犬」。

(「トムは真夜中の庭で」を読んだ後だったからだろう。なんて単純!)


再読してみて、「あれっ。ベンはこんなに嫌な奴だったっけ?」と感じた。

嫌な奴だけど、分かる・・・という読後感は全くなかったはずなのだが。

もやもやっとした感じは残ったが、今夏のテーマは他読。

釈然としない読後感は、また別の機会に氣付きを与えてくれることを信じ、次の本へ行く。

夏休みの最後は、ランサムの「ツバメ号」と決めている。

それまでにあと何冊読めるかなぁ。


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