まぼろしの小さい犬 [読書・映画・音楽]
手に入れることのできないものは、どんなに欲しがっても無理なのだ。
ましてや、手のとどくものを手にしないなら、それこそ、何も手にいれることはできない。
現実よりも空想の世界の方が良い・・・と考える子が増えた。
いや、わずらわしい人間関係や見えてくる自分の未来、ままならない自分の心に翻弄され、空想(ファンタジー)の世界へ逃避したがるのは、思春期の普遍的な心情か。
にもかかわらず、増えた、と感じるのは、思いを吐露する子が増えたから。
危ういなぁとも思うし、そうだよなぁとも思う。
でんでんむしは皆、かたい殻を背負って生きていかねばならないのだ。
現実の満たされなさ(欠乏感)とどう向き合うか。あるいは、折り合いをつけるか。
それは、「個人的」な戦いなので、代わりに槌を振るうことはできない。
が、戦い方を教えることはできる。
ある子には、「果てしない物語」を送った。
ある子には「西の魔女が死んだ」を。
もしも自分だったら、どんな本が武器になるだろうか。
浮かんだのがピアスの「まぼろしの小さい犬」。
(「トムは真夜中の庭で」を読んだ後だったからだろう。なんて単純!)
再読してみて、「あれっ。ベンはこんなに嫌な奴だったっけ?」と感じた。
嫌な奴だけど、分かる・・・という読後感は全くなかったはずなのだが。
もやもやっとした感じは残ったが、今夏のテーマは他読。
釈然としない読後感は、また別の機会に氣付きを与えてくれることを信じ、次の本へ行く。
夏休みの最後は、ランサムの「ツバメ号」と決めている。
それまでにあと何冊読めるかなぁ。
2014-08-19 07:25
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