比べる [HOME SWEET HOME]
最近、美祈が比べることを覚えた。
妹の藍里がうまくスプーンを使えなかったり、粗相したりすると、姉らしい寛容と若干の優越感をちらつかせた笑顔で、
「あいちゃん、赤ちゃん。みの、子どもー」
と言う。
彼女にとって、「子ども」というのは赤ちゃんの上位にあたる概念なのだ。
食い意地の張った彼女は、食事中にもよく比べる。
「みの、子どもー。ちっちゃいー。父ちゃん、おとなー。おっきい!」
1年生の音読のように、ちっちゃいを小声で、おっきいを声色を変えて大げさに言うところが教員の娘っぽい(笑)。
おっきいものを食べられる「おとな」は、子どもの美祈にとって、間違いなく羨望の対象。
赤ちゃんよりも子ども。子どもよりもおとな。
比較というのは、相対的なものであって絶対ではない。
概念の構築と破壊、再構築の連鎖。
人間はそうやって人間になるのだ。
2014-04-04 05:01
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